こころ(夏目漱石)に出る漢字 六 読み取り

先生と私 六

訪問する
在宅
先生に会う度数が重なるにつれて
繁く先生の玄関へ足を運んだ
私に対する態度
挨拶
懇意になったその後も
何時も静かであった
淋しい
不思議
直感
事実の上に証拠立てられた
若々しい
馬鹿げている
見越した自分の直覚
頼もしくまた嬉しく
人間を愛し得る人
自分の懐に入ろうとするもの
抱き締める事のできない人
始終静かであった
窓に黒い鳥影が射す
先生の眉間に認めた
不意に
異様の瞬間
快く流れていた心臓の潮流をちょっと鈍らせた
一時の結滞に過ぎなかった
五分と経たないうちに
平素の弾力を回復した
暗そうなこの雲の影
小春の尽きるに間のない或る晩の事
注意してくれた銀杏の大樹を目の前に想い浮かべた
勘定
毎月例として墓参に行く日
課業が午で終える楽な日
空坊主
お伴をしても宣ござんすか
切り離そうとする風
行きたくない口実
伴れて行って下さい
無意味
先生の眉がちょっと曇った
嫌悪とも畏怖とも片付けられない微かな不安
忽ち





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