【スペイン語】再帰代名詞 「私は私を~と呼ぶ」という表現
スペイン語の動詞には、AR、ER、IR で終わる規則的な活用をする動詞とそのほかに ir 「行く」などの不規則な活用をする不規則動詞があり、これらは cantar 「歌う」にせよ、comer 「食べる」にせよ、その単語のみで活用し意味を成します。
そんな動詞がたくさんある中、再帰動詞という代名詞(再帰代名詞)を伴って活用する動詞もかなりあります。再帰というのは読んで字のごとく、「再び帰る」ですが、これは主語となる人が行う行為がその人自身に再び帰るということです。表題のように、「私は私を~と呼ぶ」という文章を例にみてみると、
Me llamo María.
(メ・ジャモ・マリア)
「私はマリアです。」
もっと文字通りに訳してみると、「私は私をマリアと呼びます。」という意味になります。動詞 llamar は「(誰々を)呼ぶ」、「(誰々に)呼びかける」という意味です。しかし、
Llamo María.
(ジャモ・マリア)
などという文章は文法的に間違いですし、何の意味も成しません。「マリアを呼ぶ」と言いたいときは、
Llamo a María.
(ジャモ・ア・マリア)
「マリアを呼ぶ」
前置詞の a が人名の前につけなければなりませんし、ましてや、この2つの文両方とも「私はマリアです。」という自己紹介の文には成りえません。そこで、再帰代名詞の登場ですが、 動詞 llamar に再帰代名詞をつけて活用させると、それまで「(誰々を)呼ぶ」、「(誰々に)呼びかける」という意味しか持たなかったこの動詞が、「~という名前である」、「~と呼ばれる」という意味に変わるのです。
このように再帰代名詞をつけて活用する動詞のことを再帰動詞と呼び、辞書で調べてみると llamarse のように動詞(llamar)+再帰代名詞(se)の形で見つけることができます。これは他のロマンス諸語でも見られる現象で、スペイン語においては辞書で見つかる形では再帰代名詞が動詞の後ろについていますが、活用する場合にはすでに見た me llamo のように、動詞の前につきます。
ここから少しやっかいなのが、この再帰代名詞+動詞は、例のごとく主語によって形を変えます。主語が「私」の場合、再帰代名詞は me となり、「あなた(2人称)」の場合は te となる、のようにです。次の表が再帰代名詞の一覧です。
スペイン語の再帰代名詞 | ||
---|---|---|
主語 | 再帰代名詞 | 読み方 |
yo | me | メ |
tú | te | テ |
él/ella/Ud. | se | セ |
nosotros | nos | ノス |
vosotros | os | オス |
ellos/ellas/Uds. | se | セ |
いくつか例文を見てみましょう。
Te llamas Juan.
(テ・ジャマス・フアン)
「あなた(2人称)はフアンという名前です。」
¿Cómo te llamas?
(コモ・テ・ジャマス)
「あなた(2人称)はなんていう名前?」
Ellos se llaman María y Juan.
(エジョス・セ・ジャマン・マリア・イ・フアン)
「彼らはマリアとフアンです。」
再帰代名詞を伴って活用する動詞は lavarse (洗う)、bañarse (入浴する、海水浴に行く)、casarse (結婚する)など他にもたくさんあります。文章を作成する上で注意する点は、代名詞を必ず動詞の前につけることです。ただ、命令形や現在分詞などの形で使うときは不定詞(llamarse)のように動詞の後ろにつけて使います。
¡Cállate!
(カヤテ)
「黙りなさい!」
これは動詞 callarse の命令形です。
Me estoy limpiando los dientes.
(メ・エストイ・リンピアンド・ロス・ディエンテス)
「わたしは今歯を磨いています。」
これは動詞 limpiarse の現在進行形の形です。